読書案内 東京大学科学史・科学哲学研究室
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ウィトゲンシュタインの哲学に触れようと思ったら、解説書ではなく、ウィトゲンシュタイン自身の著作に触れなければならない。しかし、ウィトゲンシュタインの著作を独力で読むのはほぼ不可能に近い。本書は信頼できるガイド付きでウィトゲンシュタインの著作の名所案内をしてくれる。 抜粋、抄訳
エッセンシャル版ってヤツ
現代哲学、とくに英米を中心とする分析哲学、あるいは言語哲学や心の哲学において、ドナルド・デイヴィドソンは最重要の哲学者と言える。しかし、彼の著作はさまざまな論文で展開される諸論点が全体的に絡み合っていて、きわめて見通しが悪い。本書はそうしたデイヴィドソンの哲学の全体像に対して、最良の解説を与えている。これで興味をもったらぜひデイヴィドソン自身を。 言語哲学の源流であるフレーゲとラッセルについて、その論理的意味論の観点から解説した本。このあたりの話題に関心がある人は必読。さらに進んでみたいという人には、同Ⅱ(1989)、同Ⅲ(1995)を読まれたい。 11.世界の名著でも岩波文庫でもよいから、哲学者たちの原典にあたり、誰か自分と波長の合う哲学者を見つけること。そのさい大事なことは、解説書を読んで「勉強」するのではなく、最低限原著翻訳に触れること。内容もさることながら、哲学者たちがもっている思考のリズムのようなものが重要なのである。そのためには解説ではなく、彼らの「曲」そのものを聴かなければしょうがない。ガイドとして『哲学 原典資料集』( R本巍他編、東京大学出版会)なども参考になる。
哲学 原典資料集
哲学 原典資料集 | 巍, 山本, 久雄, 宮本, 俊介, 門脇, 哲哉, 高橋, 知正, 今井, 隆志, 藤本, 茂樹, 野矢 |本 | 通販 | Amazon 哲学・思想に関する文献を探す(国立国会図書館)
言語哲学を学ぶに際して最初に読む本として、次の3つの入門書をあげておきます。
W・ライカン著、荒磯敏文・川口由起子・鈴木生郎・峯島宏次訳、『言語哲学:入門から中級まで』、(2005、勁草書房):20世紀以降の言語哲学の主要な展開について概略がつかめます。最近(2019)英語原著の第三版が出ました。 言語哲学―入門から中級まで | W.G. ライカン, Lycan,William G., 敏文, 荒磯, 生郎, 鈴木, 由起子, 川口, 宏次, 峯島 |本 | 通販 | Amazon P・ポートナー著、片岡宏仁訳、『意味ってなに?:形式意味論入門』(2015、勁草書房):自然言語の形式意味論の入門書。形式言語を用いた本格的な文献を読む準備として、そもそも形式意味論なるものが何をやろうとしている学問なのかを理解するのに良いと思います。 意味ってなに?:形式意味論入門
ポール・ポートナー
Cappelen, H. and J. Dever, (2019). Bad Language, Oxford: Oxford University Press. :最近の言語哲学の一つの新機軸に(従来の言語哲学ではしばしば等閑視されてきた)実社会における言葉の関わる様々な問題に取り組む「応用言語哲学」とでも呼ぶべきものがあります。本書は応用哲学の格好の入門書です。英語も平易で学部生でも読みやすいです。
バッド・ランゲージ:悪い言葉の哲学入門
ハーマン・カペレン、ジョシュ・ディーバー
入門書を読んで先に進みたいと思ったら、これらの入門書の読書案内、参考文献で挙げられた著作を読み進めるのがよいでしょう。日本語で書かれた言語哲学の専門的著作は少なくないですが、
飯田隆、『言語哲学大全I-IV』、勁草書房 は外せません。中級以上の読み応えのある通史的な解説書としても、それ以上の本格的な研究書としても、とても優れた著作です。